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2006『美しい都市ランキング』九州版の概要報告
尾辻信宣(都市環境デザイン会議九州ブロック)
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 昨年の4月から取り組んだ都市環境デザイン会議版『美しい都市ランキング』の九州の結果をご紹介します。
 調査を終え、あらためて九州には非常に多彩な景観があることを実感しました。全国の景観と較べても特に河川や地形などの大景観に大変特筆すべきものがあります。また鹿児島の薩摩藩など外様の大名がつくった城下町が多く、その都市の形成においては地形と密接に関わっており、その都市景観は地形を巧みに取り込んだ美しい景観が今なお、息づいています。


■『美しい都市ランキング』の経緯
 2005年に評価の基準・方法を定めるために、プレ・ランキングを実施し、その結果を受け、半年程、本部評価委員会にて基準づくりを行っています。それを受け、九州ブロックでは2006年4月から6月にかけ、コアメンバーで評価都市のリストアップ、評価方法、九州での評価基準およびその考え方を議論しました。その後、コアメンバーが中心となり、各県の会員、大学研究者等に評価者になっていただき、概ね9月までに評価を終えています。

 評価の対象都市は、人口10万人以上の都市と積極的に景観に取り組んでいる都市をリストアップしています。当初約30都市があがっていたのですが、現実的な実施方法、評価者などがあり、最終的には25都市が評価の対象となりました。
 評価者については、評価が恣意的に偏ることを避けるため、原則1都市3人以上の評価者をたてるようにしました。また、実施する上では福岡在住の会員がほとんどの対象都市に出向くことになったのですが、日常的な景観を重要視する必要があるため、地元の大学の先生方に協力をいただき、評価に参加していただいています。


 現地での調査および評価を終え、10月からその結果まとめる作業を行ったのですが、詳細な検討までには至っておらず、今回はその概要として報告させていただきます。


■九州のランキングの結果
 次にランキング結果ですが、公表をどういう形でするかということがコアメンバーの中で問題になり、また十分な議論を尽くせなかったため、今回は上位都市の発表と各カテゴリーでの特徴、それに今回のランキングの実施を通して感じた課題について報告させていただきます。

     ランキング表(画像をクリックすると別ウインドウで拡大画像が開きます)
        


 総合ランキングは、上位から、長崎市、熊本市、佐世保市、福岡市、北九州市、日田市となりました。
 このランキング結果が「一人歩き」しては困るので、それぞれの評価された要因を詳しく分析し、根拠を明らかにすることが必要だと感じています。またコアメンバーであるJUDI会員(多くは都市計画を専門とするコンサルタントの若手)同士の議論では、短絡的にランキングということで順位を見比べることを主眼におくと、あまり発展的な見識が得られない。そこで評価された景観資源がなんなのか。その上で、それぞれの都市の個性、良さを認識することの方が有意義だとの意見があがりました。
 また、総合評価より、各大項目ごとの評価、特性を詳しく見た方が、その都市の特徴を相対的に把握でき、また景観の捉え方、見方と、専門家としての見識を磨く上では有意義だとの意見も出されました。
それでは、次に各大項目ごとの九州の都市の特性を簡単に紹介したいと思います。


■『項目A.大景観』で見る
【上位都市】鹿児島市、佐世保市、長崎市、唐津市、川内市

鹿児島市内から見た桜島
今回対象となっている10万人以上の都市になると、ほとんどが中世・近世(江戸時代)に形成された城下町・宿場町などがほとんどで、うまく地形を借景として取り入れているのが特筆されます。また九州は非常にダイナミックに地形が変化していることがその要因かもしれません。




■『項目B.骨格的景観』で見る
【上位都市】熊本市、佐世保市、宮崎市、別府市、長崎市

宮崎市の国道沿いのフェニックスの並木
 九州は阿蘇山、桜島などの活火山、カルデラ、リアス式海岸、湾などダイナミックな地形が広がっており、特徴的な景観が移動する道路から特に見ることができます。










■『項目C.都市の部分の質』で見る
【上位都市】熊本市、佐世保市、福岡市、長崎市、北九州市

太宰府市のランドマークとなっている四天寺山
 九州の多くの都市が地形をうまく利用して発展してきているので、多くの都市で小高い丘や山などがランドマークとなっています。そのランドマークは、幹線道路や新市街地をつくる手がかりともなっています。








■『項目D.歴史・文化・デザイン』で見る
【上位都市】長崎市、佐世保市、日田市、臼杵市、福岡市

歴史的な町並みが今も残る八女市福島伝統的建造物群保存地区
 九州の都市の中には戦災を免れ、また都市開発であらされることなく、歴史的な町並みが現在も残っている都市が多くあります。代表的な都市には、大分県臼杵市、福岡県の八女市や柳川市などがあります。









■『項目E.風景になる場所』で見る
【上位都市】佐世保市、長崎市、熊本市、北九州市、福岡市

唐津城を望む(向う)景観
 九州の都市には、その地形と共に、それぞれ個性的な景観・風景を醸し出しているものが多く、リアス式海岸の湾奥で発展してきた佐世保や長崎では斜面地に張り付いた住宅群が素晴らしい夜景を演出し、熊本の中心市街地を南北に流れる白川では風情のある河川景観が広がっています。



■『項目F.まちと産業』で見る
【上位都市】佐世保市、延岡市、熊本市、長崎市、八女市

柳川市お堀めぐりのドンコ舟
 長崎・佐世保は造船所、延岡は旭化成の企業城下町、八女市は雛人形や提燈などの伝統工芸などの産業が町の風景に彩を与えています。








■『項目G.美しい都市を支えるシステム・人』で見る
【上位都市】長崎市、福岡市、臼杵市、唐津市、別府市

門司港レトロから眺める関門海峡 の景観
 九州では年中、祭りや観光には事欠かない。威勢の良さでは全国区レベルの福岡の山笠。長崎はランタン祭や中華街での蛇踊りなどが都市景観に彩りを与えてくれます。国際観光温泉都市・別府では、古くから避暑地・慰安の地として歴史を刻んできており、そこでの永年の営みが別府ならではの「おもてなし」の景観を育んでいる。(空洞化で寂れつつあるが。)そうした温泉街の「おもてなしの風情」は異彩を放っています。

■九州の都市景観の特徴と課題
 最後に九州の都市景観の特徴と課題を簡単にまとめさせていただきます。
@大地の地形と緑・河・海など自然景観が景観領域を明確・明瞭にしている。
A温泉、海浜リゾート、歴史的景観巡りなど、古くから観光業と結びついた景観が育まれている。
B産業遺産・近代遺産の宝庫。この資源を地域計画、景観計画へ如何に活用できるかというのが我々専門家に問われている。
C城下町、在郷町、宿場町など歴史的な都市形成が現在も都市景観に大きく影響している。都市形成の文脈を如何に読み解けるか。
D自然地域が広大である為、海岸、河川、山地など管理する国等関係機関との協調・協力関係が必要。E現在各地で進められている合併問題をどうとらえていくのか。都市の領域が広がるわけだから、その中で「美しい景観」をどうつくっていくのか。専門家である我々にも問われていることだと思います。

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